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本家の開発が進んでいませんが、その理由には仕事が忙しい、他の趣味も忙しい、国家試験受験の勉強のため忙しいなどがあります。挑戦する(した)資格は次の通りです。ツッコミに書き込めないときは「掲示板 雑談スレッド」でお願いします。
2012年03月08日(Thu) プロジェクトマネージャ
_ [航空通] 気象予報士 疑問点その後2
平成23年度第2回(第37回)気象予報士試験の学科専門知識について疑問に感じた、問4(熱帯低気圧の有無)と問9(等温位線による梅雨前線の把握)ですが、問題不備の可能性について気象業務支援センターに再度意見して、さらに気象庁にも報告してみました。「そこまでするか」と言われそうな気もしますが、これまでも、調べても間違っていると思うこと、はっきりしないことはきちんと向き合ってきたつもりなので、今回もそうすると言った感じです。気象庁にも問い合わせたことで、完全に納得とまではいかないですが、熱帯低気圧について国家試験での判断基準のようなものはわかってきました。今後のためにやり取り公開。前回までのやり取りは2/23の記事を参照、その考察は2/24の記事を参照。後日の記事
●私から気象業務支援センターへのメール
お世話になっております。
ご回答ありがとうございます。
最初にお断りしておきますが、試験問題の内容に関する照会をしているつもりはなく、試験問題の不備の可能性を報告させていただいております。もしかして、その報告をこちらではなく別の窓口があるのでしょうか。その場合、その窓口をお知らせください。
<専門知識問4>
私には、本問の可視画像でも低気圧性循環を確認できます。
2010年8月4日15:00JSTの可視画像について、本問の可視画像と同程度の大きさと解像度、コントラストで比較するならば、渦パターンが明瞭に見られるというほどではありません。渦パターンが確認できるのはコントラストのはっきりした画像で、熱帯低気圧の中心部を拡大したときです。
更に渦パターンが不明瞭な事例があります。2009年8月21日15:00JSTの沖縄南東の海上にある熱帯低気圧です。この可視画像では天気図で熱帯低気圧の中心を確認しないと中心がどこかもわかりません。とても組織だった渦パターンが見られるとは言えないと考えます。
本問の可視画像では、印刷の具合の問題か出題者が意図的に画像処理を行ったのか定かではありませんがコントラストが暗めに映っています。本問の画像は2011年7月10日16:00JSTの画像と思われますが、MTSAT(-2)の画像から本問の画像と同程度になるようにコントラスト調整し、同じ調整を用いた2009年8月21日15:00JSTの可視画像を添付しておきます。
このように、一時点での画像により渦パターンの有無の判断には画像の状態や判断する者の主観が大きく影響し、国家試験としては不適切と考えます。
<専門知識問9>
問題文に「妥当性」の文言やそれを示唆する表現は見当たりません。
問題文からは、手段について妥当性を問うているのか、可否を問うているのか判断できません。判断できないものを、出題者の意向で一方的に妥当性を問うていると言われましても、読み手にそれが伝わらなければ国家試験として適切なのか疑問があります。
特に気象予報士には客観的な判断を基本としているのではないでしょうか。
これらの問は、主観に頼るところが大きく、出題者の主観と解答者の主観によって解答が異なるのはよろしくないと思います。
→現在のところ回答なし
●私から気象庁への報告
お世話になっております。
平成23年度第2回(第37回)気象予報士試験についての疑問点(問題の不備の可能性)を報告させていただきます。
試験問題については、気象業務支援センターのホームページよりダウンロード等によりご覧ください。
また、この報告は、気象業務支援センターにも行っておりますが、納得のいく回答は得られておりません。
●学科試験 専門知識 問4の(b)について
この問は、提示した7月上旬の可視画像・赤外画像・水蒸気画像から、「日本の南の海上に熱帯低気圧が存在している」について正誤を問われています。
私の見解では、すべての画像に低気圧性循環が見られ、勢力の弱い又は消滅しつつある熱帯低気圧の可能性を排除できないため正誤の判別が困難だと考えます。
気象業務支援センターの回答では、可視画像に下層雲の渦パターンが見られないため、熱帯低気圧が存在するとの判断はできないとしています。
私には可視画像でも渦パターンは見てとれますので、主観的な判断で解答が分かれるのは問題として不適切と考えます。
また、可視画像の渦パターンが不鮮明な事例、2009年8月21日15:00JSTの沖縄南東の海上にある熱帯低気圧もあります。このように渦パターンが不鮮明であっても熱帯低気圧の可能性があるため、一時点の画像のみの解析で判断させるのは不適切と考えます。
この問が、3つの衛星画像から熱帯低気圧が存在していると「判断してよいか」の問でしたら誤りと選べますが、そのような問にはなっておらず、素直に読み解けば「存在の有無」となります。
出題の画像についても、可視画像が若干暗くなっており、赤外画像の解析から本来写っているはずの雲が可視画像では確認しづらくなっているのも疑問が残ります。
参考に、この画像は、2011年7月10日16:00JSTのものと思われます。実際は寒冷渦ですが、出題の内容だけで熱帯低気圧の可能性を排除できないと考えます。
●学科試験 専門知識 問9の(d)について
この問は、850hPa予想図の等温位線の集中帯に着目することにより、梅雨前線の位置を把握する手順について正誤を問われています。
梅雨前線の位置の把握に等相当温位線の集中帯に着目することが最も適していると考えますが、オホーツク海高気圧にかかる梅雨前線の東側については水平気温傾度が存在するため等温位線の集中帯に着目し梅雨前線の位置を把握することも可能と考えます。
気象業務支援センターの回答では、手順の妥当性について問うたものであり、その方法で把握が可能かどうかを聞いたものではないとしています。
しかし、問題文に「妥当性」の文言やそれを示唆する表現は見当たりません。
問題文からは、手段について妥当性を問うているのか、可否を問うているのか判断できません。判断できないものを、出題者の意向で一方的に妥当性を問うていると言われましても、読み手にそれが伝わらなければ国家試験として適切なのか疑問があります。
また、850hPa予想図の等温位線の集中帯からオホーツク海高気圧の勢力下にある梅雨前線の位置を把握する手順として妥当ではないと言い切れるのかも疑問が残ります。
これらのように出題にあいまいさがあると考えられますので、私の見解に誤りがなければ適切な対応を望みます。
以上、よろしくお願いします。
→回答得られまして、非常に興味深い大変重要な内容を抜粋します。
気象予報士試験のこの科目は「予報業務に関する専門知識」です。
教科書的な基礎知識というよりも、気象業務を遂行するために必要となる専門的知識を問うものです。
・問4について言えば、衛星画像で低気圧性の渦が見られるが、なぜそれは可視画像でなく水蒸気画像で明瞭なのかを考える、
・問9について言えば、等温位線だけでは梅雨前線の西半分が決められず、これでは不十分なはずだと気付く、
といった、予報業務に即した判断ができるか、といったことも重要です。
この観点に立てば、これらの問題にはおっしゃるような曖昧さはないものと考えます。
問9の梅雨前線については、完全に論点が平行線なのでもうこれは致し方ないと思います。ほんの一言付け足せばあいまいさが解消するのに、なぜそれをしないのかと疑問が残ります。数多く国家試験を受けてきましたが選択式の問題でここまであいまいなのは記憶に無いです。情報処理試験もかなりあいまいさがあると思いますが、それは記述式の話ですからね。採点にも相当幅があると思います。私の場合、それ以前に等温位線を読み違えていたので論外ですが、梅雨前線の二重構造を理解していて間違えた人は本当に気の毒だと思います。
問4の熱帯低気圧の可能性の否定ですが、これは一定の基準が示されたと思います。つまり、可視画像と水蒸気画像で見比べた場合、水蒸気画像の方が低気圧性循環が明瞭であれば寒冷渦、そうでなければ熱帯低気圧であるということです。これはあくまで発達した状態ではない場合の判断と思います。非常に強い寒冷渦と台風は画像では判別ができないと思います。私は、寒冷渦で明瞭な水蒸気画像の渦(基本的にドライスロット)が見られることは知っていましたが、まさか水蒸気画像の渦が熱帯低気圧を否定できるとは思いもよりませんでした。台風など明瞭な水蒸気画像の渦がありますからね。確かに私が2/24の記事で紹介した消滅しつつある熱帯低気圧では水蒸気画像の渦が不明瞭です。果たして、熱帯低気圧の勢力が弱いときは必ず水蒸気画像の渦が不明瞭となるのでしょうか。と思っていたところ、画像判別について質問していたことについて気象庁より回答が来ました。
水蒸気画像で明瞭な低気圧性循環が見られる場合、その循環は上層に寒気を伴う寒冷渦に対応するものであり、その下に熱帯低気圧が存在することはありません。
なお、当庁の他課へのご照会と合わせて、本件のご質問は1月末に行われた気象予報士試験の学科試験問4に関わるものと思慮しますが、当該問で示されている水蒸気画像では、極めて明瞭な低気圧性循環が見られ、この下に熱帯低気圧が存在すると考えることは適切ではないと思われます。
なるほど、気象庁としては、水蒸気画像で明瞭な低気圧性循環が見られる場合は寒冷渦で熱帯低気圧の存在は無いそうです。ここで、新たな疑問が。時々、寒冷渦と熱帯低気圧(台風)が合体することがありますが、これは熱帯低気圧(台風)ではなくなるのでしょうか。はたまた、寒冷渦は対流不安定な存在ですのでCISKまで発展し熱帯低気圧化もありえます。下層ウォームコア、上層コールドコアもありえますが、これは一概に熱帯低気圧ではないと定義しているのでしょうか。
それと、出題で提示された水蒸気画像の渦が極めて明瞭というのは少し言いすぎではと思います。渦の周辺に乾燥域があり暗くなっており、渦が明るく見えるので明瞭に感じますが、渦自体のコントラストは赤外画像とまた、コントラスト調整前の可視画像とあまり変わらないような気がします。後日、もう少し考察したいと思います。