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本家の開発が進んでいませんが、その理由には仕事が忙しい、他の趣味も忙しい、国家試験受験の勉強のため忙しいなどがあります。挑戦する(した)資格は次の通りです。ツッコミに書き込めないときは「掲示板 雑談スレッド」でお願いします。
2012年02月24日(Fri) プロジェクトマネージャ
_ [航空通] 気象予報士 疑問点 熱帯低気圧考察
前日の続きです。再度、はじめに断っておきますが、私の気象予報士試験のための勉強期間は2ヶ月間ぐらいしかなく(ただし航空従事者のパイロットライセンスを持っていて航空気象については散々勉強しました)、もしかしたら何か知識が不十分か根本的な理解の間違えがあるのかもしれません。この書き込みの時点で最大限調べて正確性を期しておりますが、間違えておりましたら前もってお詫びしておきます。間違えを恐れずに考察します。後日の記事
平成23年度第2回(第37回)気象予報士試験の学科専門知識の問4(熱帯低気圧の有無)について考察してます。まずは画像を見てみましょう(高知大学・東京大学・気象庁提供)。
●2011年7月10日15:00JST(赤外、可視、水蒸気)
●2011年7月10日16:00JST(16時の方がより出題の画像に近いので追加しました2/26)
●2011年8月4日15:00JST(赤外、可視、水蒸気)
さて、黄色の円で囲まれた領域で、どちらに熱帯低気圧が存在し、どちらが寒冷渦(上空寒冷低気圧)でしょうか。
答えは、試験を受けた方はわかりますが、上の7/10のが寒冷渦、下の8/4のが熱帯低気圧になります。センタ側の寒冷渦と熱帯低気圧の見分けの見解をまとめると次のようになります。
- 7/10の可視画像では組織的な渦は見られない
- 7/10の可視画像にわずかに白い部分があるが、朝鮮半島にある積乱雲と比べるとその厚さは薄く、組織的と言える大きさではない
- 8/4の可視画像では、熱帯低気圧に対応する下層雲による渦パターンが明瞭に見られる
これらを更にまとめると2つに分けられます。可視画像の組織的な渦の有無と積乱雲の大きさです。まず組織的な渦の有無ですが、これは上下見比べてどうですか。8/4の方は明瞭と言ってますが、確かに見比べれば、しかも画像を拡大して精査すればという程度です(出題の画像の大きさはこのサムネール程度です)。拡大すれば8/4の方は中心付近まで細かく渦があるのは認めます。しかし、熱帯低気圧かどうかの判断の閾値の基準はあるのでしょうか。8/4の熱帯低気圧は翌日の午前3時まで地上天気図に存在し午前6時には消滅しています。つまり、消滅しつつありますので、この可視画像からさらに渦の状態が崩れても熱帯低気圧は存在することになります。よって、渦の存在が確認できる限り熱帯低気圧の存在は否定できず、どの程度組織的かは基準が無い以上判断に使えないです。なぜなら、どの程度組織的かは環境や主観によって判断が異なるからです。7/10の可視画像でも十分渦は確認でき、熱帯低気圧の可能性は否定できません。出題の可視画像は、意図的か偶然かはわかりませんが、ここでの画像より若干暗いです。このように印刷の状態にも左右されますし、絶対値を判断する主観ほどいい加減なものはありません。ちょっと逆の見方をしますが、8/4の可視画像を拡大して熱帯低気圧の中心部を見て下さい。これどこかで見たことある形ではありませんか。よく冬場の日本海に発生する寒冷渦に似てますね。このように逆に熱帯低気圧を寒冷渦と見間違えることもあります。2つ目の積乱雲の大きさは、これは比べてみて明らかなように7/10の寒冷渦の方が大きく雲頂高度も高く組織的です。
結論として、私の主張としては「一時点での画像のみの判断では、寒冷渦か熱帯低気圧か判別できない」です。この画像は消滅しかかっている若しくは勢力の弱い現象ですが、逆にかなり発達した寒冷渦は台風のように写りますので、この場合も判別は困難と思います。ただし、画像の時期(冬季・夏季)と渦の位置(低緯度・高緯度)で確率的には言えると思います。また、CISKの無い寒冷渦も判別できそうとは思います。
恐らく、出題者は夏季低緯度の数少ない寒冷渦の事例を持ち出して、言葉は悪いですが引っ掛けてやろうと思ったのかもしれません。しかし、熱帯低気圧かどうかの判別を一時点の画像のみで判別することが妥当な手段なのか、きちんと検証されていないように思います。これはまさしく私がもうひとつ疑問に思う専門知識問9のセンタ側の考え方に相反することです。両問題とも共通することは主観の依存度が大きくあいまいであることです。過去にも結構頻繁に出題の不備があるので、検証が十分に行われているのか疑問が残ります。ここまで書いて気づいたのですが、もしかしたら出題の可視画像は意図的に暗くしてあるのかもしれません。渦が確認できないようにするためです。でもそれは私の目には渦は確認できましたし、裏付けで赤外画像を使うのは間違いではないでしょう。基本的には赤外画像に写っている「雲」は濃い薄いの違いはありますが可視画像にも写っているはずだからです。逆は成り立ちませんし、雲ではない原因で写っているものも成り立ちません。もし意図的に赤外で写っているものを可視で写っていないようにする行為は論理的な間違えといえるでしょう。論理的な学問(物理学)で成り立っているのに相当にまずい行為です。ちなみに、センタは赤外画像・水蒸気画像では低気圧性循環を認めています。なぜ可視画像だけ認めないのか、そしてなぜ8/4の可視画像で明瞭な渦と言っているのか、それは明るさ(ガンマ特性)を変えているからでは…と思いました。
なぜ、私がこんなにこだわっているのかと申しますと、試験前に熱帯低気圧と寒冷渦は決定的な違いは暖気核か寒気核かの違いしかなく、これを画像で判別できるのか散々調べたからです。結局は生い立ちを知るか、垂直構造の解析図とか天気図が必要としました。そもそも、寒冷渦が夏季の低緯度に存在すれば、海面は暖かく上空は冷たいですので対流不安定が起こりCISKが起こります。そうすれば、潜熱の放出が活発になり暖気核への移行が起こります。こういうグレーゾーンを日本ではカテゴライズされていないみたいですが、亜熱帯低気圧とも呼ぶそうです。ですから基本的に寒冷渦か熱帯低気圧かの線引きが難しいこともあります。後日の記事