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本家の開発が進んでいませんが、その理由には仕事が忙しい、他の趣味も忙しい、国家試験受験の勉強のため忙しいなどがあります。挑戦する(した)資格は次の通りです。ツッコミに書き込めないときは「掲示板 雑談スレッド」でお願いします。
2012年03月09日(Fri) プロジェクトマネージャ
_ [航空通] 気象予報士 試験合否通知
自己採点の通り、やはり不合格でした。一般知識のみの科目合格です。ボーダーが下がったので、専門知識後1問で駄目でした。不適切と思われる問題が2問ありましたが、問題文読み違えで2問ミスしてましたから仕方ないと言えば仕方ないです。マークシートで落とした試験は電験2種の法規以来ですか。電験は始めの方の計算問題で分母分子を間違えて以降の問題全滅という失敗だったと思います。今回の気象予報士試験の専門知識は納得できないですね。
_ [航空通] 気象予報士 疑問点 熱帯低気圧考察2
前日の記事の続きです。平成23年度第2回(第37回)気象予報士試験の学科専門知識の問4(熱帯低気圧の有無)についてです。関連記事として2/23の記事や2/24の記事を参照してください。(画像は、高知大学・東京大学・気象庁提供、一部加工済み)
後になって気象庁の回答を見てみると、ちょっと失礼な物言いだなと思ってしまいます。「教科書的な基礎知識というよりも、気象業務を遂行するために必要となる専門的知識を問うものです」というところですね。全く逆です。教科書的な基礎知識で考えれば、この熱帯低気圧の問題も、同じ科目の問9の梅雨前線と等温位線の問題も簡単に解けると思います。教科書的には「熱帯低気圧=台風よりも勢力の弱いもの」、「梅雨前線の解析=等相当温位線」と覚えますからね。私が言いたいのは、あらゆる熱帯低気圧や寒冷渦の一生を通して考えたとき、気象予報業務において一時点での赤外・可視・水蒸気画像だけで判断してよいのかということです。また、梅雨前線の解析に等温位線はあらゆる予報業務で使えないのかということです。いろいろな業務において、特に理工系の人間なら当たり前ですが、資料から現象を特定するのに、なるべく多くの資料を使い裏を取るのは当たり前です。熱帯低気圧の可能性については理論的、論理的に完全に否定できない限り、別の資料から総合的に判断しなければならないでしょう。等温位線も数値予報の資料ですから実際に梅雨前線に対応しているのかの確認や、等相当温位線の資料が手に入らなかった場合などいろいろ考えられるわけです。ですから梅雨前線の問題については、「一般的な予報業務において」とか「梅雨前線の全長に渡って」とか一言付け足せばよいのです。または、等温位線ではなく、完全に解析に使えない資料にするなど。それは、まあ、さておき、熱帯低気圧と寒冷渦をまとめてみます。
●出題の画像(2011年7月10日16:00、赤外、可視、水蒸気)
微妙なところでありますが、可視画像より水蒸気画像の方が渦が明瞭なので、気象庁は寒冷渦であり熱帯低気圧は存在しないとしています。水蒸気画像の渦が極めて明瞭のように感じますが、それは渦の周りの中上層が乾燥した空気に覆われて暗く写っているためです。渦自体のコントラストは極めて明瞭というほどではありません。
確かに水蒸気画像の渦は上層の寒気の渦の可能性が高いですが、問題は対流雲が写っていることです。画像の判断からもこの対流雲は積乱雲ですが、朝鮮半島にある積乱雲より規模は小さいとはいえ、数百kmに及ぶものですよ。熱帯低気圧による積乱雲もこのようにブワっと発生しますので、これもう少し継続すれば熱帯低気圧化もあったのではないでしょうか。ところどころ渦状に対流雲が写っている寒冷渦を判断させるのは、やはり疑問があります。本当は、気象庁はこの画像だけで判断しないで別の資料もあたらなくてはと考える画像ではないのでしょうか。なお、出題の可視画像は印刷の都合か意図的かわかりませんが若干暗めに写っており、次のような感じになります。
典型的な教科書どおりの寒冷渦は次の例のとおりです。なぜこういう画像を使わなかったのか疑問です。
●典型的な寒冷渦(2011年8月5日9:00、赤外、可視、水蒸気)
普通よく見る典型的な寒冷渦は、水蒸気画像の黄色の円内の渦と思います。このように対流雲が見えず、ドライスロットがはっきりしていれば寒冷渦と判断できると思います。他の画像では渦状の対流雲は見えません。また、寒冷渦の西側に台風(強力な熱帯低気圧)が写っていますが、これでも水蒸気画像に渦が写っています。基本的に違うのは寒冷渦は灰色に黒の渦模様(黒はドライスロット)、台風は灰色に白の渦模様(台風が吐き出した上層の水蒸気)の違いがあります。こういった色の違いからも出題の水蒸気画像は微妙と言えます。
●消滅寸前の熱帯低気圧(2009年8月21日15:00、赤外、可視、水蒸気)
熱帯低気圧は非常にわかりづらいですが、可視画像の黄色の円内、沖縄の南東の海上にあります。このように可視画像でも渦状の対流雲が明瞭でなくても熱帯低気圧のことがあります。ただし、気象庁の言うとおり水蒸気画像での渦は不鮮明です。しかし次のように弱い熱帯低気圧に水蒸気画像に渦が写っている時があります。
●熱帯低気圧+寒冷渦(2009年9月24日15:00、赤外、可視、水蒸気)
この画像は、黄色の円内で熱帯低気圧と寒冷渦が合体したものと思われます。この地上天気図では、熱帯低気圧と解析されています。これでは、気象庁の回答が間違っていることになります。前日の記事で書いた気象庁の回答では「水蒸気画像で明瞭な低気圧性循環が見られる場合、その循環は上層に寒気を伴う寒冷渦に対応するものであり、その下に熱帯低気圧が存在することはありません」としています。本当に大丈夫ですか、気象庁。なんだか回答は、気象業務支援センターと口裏を合わせるようにしたような印象を受けます。ただし、この可視画像では、下層の渦状の対流雲が確認できます。でもやはり、さらに勢力の弱いときの熱帯低気圧(上記の消滅寸前の熱帯低気圧を参照)と寒冷渦との合体はどうなのかと疑問が残りますし、出題の可視画像とこの可視画像とで線引きはどこになるのかという疑問が残ります。
●発達した寒冷渦(2012年2月21日9:00、赤外、可視、水蒸気)
最後に、参考のために発達した寒冷渦の画像を載せておきます。もっと発達した台風並のもあるのですが、目に付いたのがこれなのであしからず。寒冷渦はサハリンにある黄色の円内にあるものです。これは温帯低気圧から閉塞しきった低気圧と思われます。東のほうに前線も見て取れますので。このように寒冷渦でも可視画像でも組織だった渦状の対流雲を確認できます。このように画像だけでは熱帯低気圧か寒冷渦かの判別は非常に困難と思います。